inSozialphilosoph Axel Honneth: „Uns fehlt heute jede Vision“ | Thüringer Allgemeine, 02.06.2015.

 「こんにち私たちに欠けているのはビジョンだ」。Thüringer Allgemeine 新聞に掲載されたインタビュー。主たるテーマは社会主義の理念。

現代社会における自由

 一般的な考え方では、自由とは誰もが特定の権利を持つことであり、その権利は、国家によるサンクションや干渉なしに自分が良いと思うことの現実化を可能にするもの。しかし、ホネットによれば、自由の別の形式が忘れ去られている。すなわち「社会的自由」である。

 「社会的自由」は他者と協力するなかで経験するものであり、それは、様々な欲求を何か強いられることなく互いに実現し合うことである。そうした「社会的自由」を私たちは、愛、強制なしに協力して働くこと、民主的行為から知っているとされる。雇用関係においても「社会的自由」は可能なのかとの問いに対して、ホネットは、自由で平等な者としてメンバーが互いに敬意を払うという約束がそこにもあるとする。ただし、そうした約束は、現実の資本主義の実情からするとばかげたものになってしまっていると言う。

社会主義の理念

 ホネットによれば、初期社会主義者とマルクスの要求は、自由、平等、友愛というフランス革命の約束が大多数の賃労働者にとっては守られていないことの失望とともに始まっているとされる。社会主義者たちが試みているのは、自由、平等、友愛を実現するという、そうした「社会的自由」を主張することである。それも、将来の経済の領域において、協同(Kooperation)によって特徴づけられるようなかたちでである。

 そうした理念は今日でも有効なのかとの問いに、ホネットは、まずは、19世紀に定式化されたような社会主義の何が時代遅れになっているのかを明らかにしなければならないという。ホネットによれば、そうした社会主義には二つの欠陥がある。一つには、社会の発展が規則に従ったものとして考えられ、資本主義を転換するように定められた階級、すなわち産業プロレタリアートが存在すると信じられていた。これは今日の視点からすると不条理な考え方であるとホネットは言う。もう一つには、将来社会が下から、経済によって組織されるものと考えられたため、政治的民主政がなおざりにされた。社会主義の理念を実り豊かにするためには、こうした産業主義の遺産を乗り越える必要がある。

 そうした乗り越えはどのようになされうるのか? ホネットによれば、それは、社会主義者の歴史観念を史的実験主義(Experimentalismus)に取り替えることによってである。すなわち、「社会的自由」を拡張する機会の制度化を、あらゆる領域において絶えず新たに試みていくことである。ホネットは、その例として、同性愛者に婚姻を可能にすることや最低賃金を挙げている。最低賃金は、よりましな雇用関係、つまりはいっそうの社会的自由にいたる途上の小さな一歩であるという。

プロテスト

 社会主義の理念の「ルネサンス」なのかと問われて、ホネットは、そうではないと言う。ホネットによれは、こんにち私たちが苦しんでいるのは、プロテストの沈黙であり、ビジョンが欠けていることである。人びとは、たしかに、現状の資本主義に大きな不満を抱いているのだが、しかし、それを定式化することができていない。人びとの心をとらえる将来ビジョンがないことで、現状に対するオルタナティブがないという考え方が増してしまっている。だから、社会主義の古き理念を引き継ぐということは、こうした沈黙を克服しビジョンをアクチュアルなものにする試みでなければならない。

 ただし、ホネットによれば、現状を変える動きがなくなってしまったという感覚は、部分的には人を惑わすものである。たとえば同性愛の解放は、非常に大きな突破であり、考えられている以上に変化しているところもある。「私は、同性愛を禁止する刑法175条とともに成長した。より自由になるということはすでに起こっているのである」。